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固定価格買取制度① 再生可能エネルギー特別措置法ができるまで

更新日:2019年12月10日

第3節 太陽光発電の今を知る

第10回「固定価格買取制度① 再生可能エネルギー特別措置法ができるまで」

前回はRPS制度と余剰電力買取制度について紹介をしました。 第10回目のテーマは、固定価格買取制度(FIT)が定められた「再生可能エネルギー特別措置法ができるまで」について説明していきます。

東日本大震災前

固定価格買取制度を巡る議論の発端は、1998年から始まった自然エネルギー促進法案の検討まで遡ります。この法案による制度は、2000年にドイツで成立した再生可能エネルギー法(EEG)により定められた固定価格買取制度と同等のものであったと言われていますが、2000年ごろの政治的な騒動により廃案となりました。

その後、2003年施行のRPS制度、2009年施行の太陽光発電の余剰電力買取制度と、再生可能エネルギーの普及促進に関する制度が打ち出されましたが、自然エネルギー促進法案により検討された制度と比べると消極的・限定的な政策となりました。


固定価格買取制度の実現に向けて大きく歩を進めることとなったのは、2009年の衆議院選挙においてマニフェストで「全種・全量」の固定価格買取制度の早期導入を掲げた民主党に政権交代したことが大きな要因となっています。制度の詳細設計については、民主党政権になった後、経済産業省のプロジェクトチームを中心に、買取価格設定は太陽光以外一律の15~20円/kWhなどの内容で検討が進められました。

そして、奇しくも東日本大震災が起きた2011年3月11日の午前中に、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生可能エネルギー特措法)」案が閣議決定されました。


東日本大震災後

東日本大震災以後、福島第一原子力発電所事故の対応などで国会において法案の審議がなかなか進みませんでした。しかし、原発事故を契機に再生可能エネルギーに対する期待が高まる中で、停滞する固定価格買取制度の議論を環境保護団体や超党派議員連盟が押し進め、2011年7月に衆議院で審議入りしました。


法案の審議の過程でも、様々なステークホルダーが法案成立に影響を与えていると言われています。衆議院経済産業委員会における参考人意見陳述によって、議論が制度設計や再生可能エネルギーによる被災地・農山漁村の産業振興などの本質的議論に変わり、自民党総合エネルギー政策特命委員会が過去の自民党のエネルギー政策への反省から政府原案を批判し、買取価格設定を一律から種別・規模ごとのコストベースに変更するなど、法案の大幅修正が行われました。そしてその大幅修正によっって最終的に、法案が民主・自民・公明の3党合意で2011年8月26日に参議院本会議を可決成立し、2012年7月1日から施行されました。

今回は、再生可能エネルギー特別措置法ができるまでについて簡単に紹介をしました。 次回のテーマは「固定価格買取制度② 固定価格買取制度のしくみ」を予定しています。 また、本サイトで取り扱ってほしい記事などがありましたら、お問い合わせにてお気軽にご連絡ください。

参考:道満 治彦(2013),「エネルギー政策再策定下における再生可能エネルギー促進政策の現状 : 再生可能エネルギー特措法の政策決定過程から」, 立教經濟學研究,p. 77 – 106.


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